この仕事を始めたきっかけ

この仕事を始めたきっかけ

もともとボランティアや消防などの緊急対応に興味があった私は、万が一、家族の身体が不自由になったときのことなどを考え、「救急車代わりのタクシーや、医療行為をしながらの搬送ができるようになったら便利なんじゃないか」と思うに至りました。

しかし勉強を重ねると、残念なことに、民間救急車であっても、困難ケースの搬送は、できれば避けて通りたいというところが本音のようでした。しかし、そのような考えが一般的になってしまうと、患者様やご家族には、頼れるところがなくなってしまいます。「患者様やご家族の心の拠り所になりたい」その気持ちが、この仕事をはじめたきっかけです。

いままで一番つらかったこと

一番つらいのは患者様ご本人です。患者様の中には搬送の際、大声で騒ぐ方、車を蹴飛ばす方、ナイフをふりまわすなど暴力を振るわれる方もいます。でもそれは、患者様がつらいからこその行動です。患者様を一刻も早くそのつらさから救ってあげられるよう、マイナスの気持ちは抱かないように努力しています。

ただ、ご家族や周囲の方のお気持ちを察すると、いたたまれない気持ちになることがあります。

搬送に際し、トイレに行こうとしたり着替えようとする女性の方が多くいらっしゃいます。その場合私どもは、鍵をかけて籠城されないように、リスクを回避する必要があるのです。どうしてもという場合は、鍵のついていない交番に連れて行ったり、トイレの中の危険物を撤去しなければなりません。設備を汚されてしまうと洗浄費用を別途請求しなければならないため、失禁のリスクも回避しなければならないのです。ですが、患者様やご家族の方の気持ちを考えると、どうしてもいたたまれなくなります。
私も人間ですから。

一番悲しかったのは、お部屋に入ると、患者様が亡くなられていた、ということです。その一件以降、お部屋に入る際は「頼むから生きていてくれ」そんな気持ちでドアを開けます。